元々外国にいた生物が日本で繁殖してしまい、害獣となることはよくあることです。それを特定外来生物といいますが、今でもアライグマやヌートリアなどかなりの特定外来生物がいます。今回はその中でも鹿を小さくしたような生き物、キョンの増殖が最近一部地域で深刻化していて、広がらないために報奨金が出ています。報奨金は
- 目撃情報提供で2000円
- 捕獲で30000円
とかなりの高額です。今回はその条件などについてまとめました。
キョンとは?
キョンとは見ての通り小さい鹿です。
千葉県勝浦市の観光施設から逃げ出したキョンが定着してしまい、繁殖。今では7万頭ほどいると言われおり、農作物への被害が3億円ほどと言われています。ホエジカ属らしく犬のような声で鳴き、近隣の住人からは苦情が上がるくらいうるさいと言われています。
実は肉は高級材料で皮も貴重品
これだけ増えて被害も相当な額いっているキョンですが、実は中国や台湾だとキョンの肉が高級食材だったりします。肉汁は少ないものの、柔らかく、臭みもない赤みの牛肉のような味わいとのことで、皮も高級で昔から輸入してまで、高級車や高級楽器、セーム革として使われていました。
現在ジビエ料理としてキョンの肉が扱われ始めており、それが定着してしまったら、もしかしたらそのうち報奨金はなくなるかもしれません。
報奨金まとめ
現在茨城県と千葉県の各自治体よりキョンに対する報奨金はでています。それを簡単にまとめてみました。
写真や動画の情報提供 | 捕獲 | |
茨城県 | 2000円 | 30000円 |
千葉県勝浦市 | なし | 6000円 |
千葉県睦沢町 | なし | 7500円 |
千葉県の房総半島がキョンが大量発生している地域となり、近隣の住人によると見ない日はないとのことです。家庭菜園で作っている作物も食べに来てしまい、人間が近づいても全く恐れることなく平然としているそうです。
一方茨城県では千葉で繁殖したキョンが茨城県まで来ないように、情報提供から報奨金が支払われます。それほど農作物への被害を懸念しているのが伺えますね。
とはいえ報奨金が高い捕獲には実は条件があります。それについて詳しく説明していきます。
簡単なモンスター・ハントではない?報奨金の条件
茨城県の捕獲条件には
狩猟免許所持者で鳥獣の管理の目的で許可を受け、県内に生息するキョンを適法に捕獲したもの
と書いてあります。そこからわかるようにまずは茨城県内でなければいけません。それが第一条件。
そして、竹槍をつくってキョンを捕獲しに行こうと考えた人がいるようですが、それは大きな間違いです。キョンを捕獲するのには免許がいります。それが
狩猟免許
狩猟免許には猟をする方法ごとに、
の4つがあり、車の免許のように筆記試験、技術試験があり、それにくわえ適性試験(視力や聴力・運動能力など)があります。合格率は80%ほど。その狩猟免許が必要となります。
免許があって初めて捕獲でき、捕獲したあとは県が定める書類を下記申請しなくてはなりません。詳しくはこちらのPDFを御覧ください。
キョンの捕獲の仕方
様々な方法が捕獲に使われていますが、一般的によく使われている順番は
- くくり罠
- 箱罠
- その他(銃器や張り縄)
となっており、千葉県では84%がくくり罠で捕獲されているようです。くくり罠とはキョンの獣道に仕掛けて、首や足などを引っかかるようにし捕獲するというものです。箱縄とはオリのようなゲージに入った動物が入り口を閉められ捕獲するというもの。
害獣ハントは儲かるのか?
先ほど害獣を捕獲するのに狩猟免許が必要と答えましたが、この狩猟だけで生計を立てたとしても年収240万程度らしく、まったく生計はたてられません。農作物への影響は酷く税金は大量に徴収するのに、捕獲に対する報奨が少ないからです。
例えばくくり罠はだいたい購入すると1万円ほどですが、くくり罠を仕掛けたからと言って必ず対象の動物が引っかかるとは限りません。キョン用の小さなくくり罠を仕掛けて、イノシシが引っかかり壊されて逃げられるだけ。とか、アライグマが引っ掛かりズタボロにくくり罠を壊されるなど良く起こるそうです。
そのようなくくり罠費用、移動のガソリン代、労力を考えると全く割に合いません。
茨城県だけの情報提供報酬とは
捕獲は免許や罠などかなりの時間や準備費用が必要ですが、情報提供報酬はどうなのでしょうか。茨城県が出している条件は
キョンの生きている個体を撮影した画像または動画で、県内におけるキョンの所在を確認できるもの
というものです。つまり茨城県でキョンを見かけたらスマホで動画を撮って、そのデータと書類いくつかをメールで送るだけとなっています。詳しくは
をメールで送る必要があります。キョンの目撃情報報酬申請書はこちらからダウンロード可能です。画像や動画はキョンの前身をアップで撮影したものや茨城県内だと証明できるものといっしょにキョンを撮影したものとなっています。
位置情報などはスマホで取れば基本的には自動的に撮影地点の位置情報がありますので、それをスクリーンショットで大丈夫でしょう。
基本的に電子データでメールで送ったものが対象となり、加工はしないようにしましょう。キョンの撮影はできれば背景で場所がわかるように写し、徐々にズームしてキョンの全身を撮っているようなデータが良いです。それらを送ったあとに専門家や県が調査し妥当であれば支払いが行われます。
今のところは1情報につき2000円となっています。
まとめ
特定外来生物の農作物への影響はかなり大きくなってきており、農業従事者にとっては大問題となっています。県や市はもう少しそこにお金をかけるべきだとは思うのですが、結局理由のわからない建物や予算対策に使われるという問題は解決することはないでしょう。
外来生物の肉や皮をうまく使える業者ができて、買い取りという形のビジネスが出来上がれば、また変わってくるかとは思うのですが、捕獲にはどちらにせよ免許が必要だったりします。